2012
10.13
2012年 9月議会 (※全文はここをクリック!)
(相崎発言:1回目)
ただいま議長より発言の許可がありましたので、通告に従い質問をさせていただきます。
早速1つ目の質問に入ります。滞納対策(債権管理)についてです。
皆さんは伊丹市の公金の滞納額は全部で一体幾らぐらいあると思われますかと、そんな冒頭で公金の滞納対策について質問をしたのがちょうど1年前の9月議会でした。当時の滞納総額は、22年度決算でおよそ59億円、深刻な課題として対策のアイデアをさまざまな提案いたしました。質問後、市民の皆さんから多くの反響をいただき、そのほとんどはそんなに滞納があるとは知らなかった、しっかりと取り組んでくれというものでした。その後、市では担当の財政基盤部を中心に滞納対策、債権回収について積極的に取り組んでおり、大変評価しているところです。ただ、平成23年度決算、今回出ました決算でも滞納総額はおよそ55億円、いまだ深刻な課題です。
自治体の埋蔵金とも言われる公金の滞納、本来入ってくるべき公金を確実に確保するということは大変に重要なことですし、また、まじめに納付いただいている市民が多くいる一方、資力を有しながら納付しない悪質な滞納者がいる不公平を是正するということは市の重大な責務だと考えます。そこで、改めて当テーマを取り上げ、詳細に質問をすることにいたしました。
まず、最初に伺うのは、市長の御決意です。
なぜこれを初めに確認するのか、それはこの課題が市役所を挙げての全庁的な問題だからです。
市が有する債権というのは、市民税に始まりまして国民健康保険料、介護保険料、保育所保育料、学校給食費、市営住宅の賃料等々全部で60種類もあります。これらは個々の法令や条例により徴収の方法や規則が異なり、担当する部署もさまざまです。さらに、互いに情報を共有することにも制限があります。そんな中で、基礎自治体である市ができることは、法令の範囲内で効率化を図るとともに、各担当部署が意識と知識を高め、回収業務を充実させることです。そこで、市のトップである市長がまず全体方針として決意を示し、フラッグシップを掲げていただきたいのです。
そこで伺います。公金の滞納対策(債権管理)について市長の御決意をまずお聞かせください。
次に、具体策を伺ってまいります。
まず、アクションプランについてです。通告では2番です。
先進自治体では、滞納対策について何らかの計画やプランを策定しているところも見受けられます。伊丹市では現在つくっておらず、昨年9月議会では行財政プランがそのプランに当たると考えているとの答弁でした。
しかし、行財政プランはあくまで全体的な、総合的なプランでありまして、私は滞納対策独自のプラン策定がベターだと考えます。プランが存在をしておりますと、担当部署では取り組み事項が整理されて、明確に推進することができますし、市役所内において内容と意識を全体で共有できます。さらに、市民に対しても市の姿勢を明確にPRできます。
また、プラン策定がベターだというもう一つの理由は、具体的な目標値と期限が必要だと考えているからです。民間企業では、事業について具体的な目標値を設定するということは常識ですし、行政でも、昨今、各種の計画を策定する際に数値を入れ込む方向性にあります。
そこで伺います。プランについて策定がベターと考えますが、いかがでしょうか。また、具体的な目標値や期限の設定が必要と考えますが、いかがでしょうか。
次に、3番目の債権管理条例についてです。
これは自治体が有している債権について改めて整理をして適切に管理をしていこうという条例で、滞納対策の一環として策定する自治体がふえています。当市でも、伊丹市でも今年度中の策定を予定しておりますので、今回その内容について確認します。
まず、条例の目的です。この種の条例は策定せねばならないというたぐいのものではございませんので、ゆえに下手をすれば策定することが目的となり、内容は地方自治法の施行令等をなぞらえただけの中身の薄い理念条例、シンボリック条例になるおそれがあります。実のある条例にするために目的の明確化が必要です。
そこで伺います。策定予定の債権管理条例の目的は、まずいかにお考えでしょうか。
次に、条例の内容です。現在提示されている伊丹市の債権管理条例の内容案を見ますと、ポイントとなる私債権の放棄等が盛り込まれており、一定理解しているところです。ただ、他市の債権管理条例を見聞いたしますと、多くの項目を盛り込んだボリュームのある例もあります。一方、伊丹市の案は比較的シンプルな条例案となっています。例えば、他市で見られる計画書提出、台帳の整備、強制執行、徴収停止などは伊丹市の計画案では含まれておりません。
そこで伺います。他市では記載のあるこれらの項目は、伊丹市では盛り込まないのでしょうか。また、盛り込まないのであれば規則などで補完されるのでしょうか。重ねて、逆に伊丹オリジナルの項目はあるのでしょうか。あれば同時にお示しください。
あと、条例の名称についてです。債権管理条例という名称は内容を考えるそのとおりなんですが、市民の方々には少々ぴんときづらい名称ではないかとも感じているところです。さりとて他市も債権管理条例もしくは債権に関する条例というところがほとんどで、妙案も浮かびにくいところなのですが、ただ、極力市民の方々に伝わりやすい工夫をと考えてるところです。
そこで伺います。条例の名称について市民にわかりやすいものをと考えますが、いかがでしょうか。債権管理条例にするにしても、市民への説明やPRに工夫をと考えますが、いかがでしょうか。
次に、4番目のマニュアルについてです。
債権を回収するに当たっての課題の1つに、各担当部署において回収業務が後手に回りがちということがあります。通常の業務に追われ、徴収に手が回らず、専門知識を習得する余裕もなく、督促、訴訟、欠損処理はさらにおくれ、おまけに職員は定期的に異動するという現実があります。
そこで、伊丹市は徴収しやすいようにと、事務執行マニュアルと訴訟マニュアルを今年度中に策定予定とのことです。統一のマニュアルを作成するのは非常に評価するところです。懸念するのは、作成したマニュアルが十分に活用されず、無用の長物になることです。作成後の活用方法がかぎと考えます。
そこで伺います。策定予定のマニュアルについて、各担当部署における周知徹底の方法、また具体的な活用方法についてお示しください。
次に、5番目の管理の一元化です。
このあたりがポイントになってまいりますが、伊丹市が有する公金は60種類ありまして、それぞれの担当部署がそれぞれの法律や条例にのっとって徴収をしています。これが非常に非効率でして、縦割り行政の弊害とも言われております。そこで、債権管理の一元化であります。法令の範囲内にはなりますが、一元化の工夫の余地は大いにあり、取り組む自治体もふえています。
まず、一元化しやすいのは、強制徴収公債権です。これは裁判所の決定がなくとも自治体独自が財産の差し押さえなど、強制徴収を執行できるというものでありまして、市税や国保税などがあります。先進市の千葉県船橋市では、これらの強制徴収公債権についてシステムを改修してデータを一括し、一元管理しています。また、高額滞納者から一括管理していくという自治体もあります。
そして、そのほかの債権には非強制徴収公債権と私債権があります。これらは、自治体が独自に強制的に徴収するという権利を有しておらず、最終的には民事訴訟に持ち込まねばなりません。法令も担当部署もそれぞれで、一元化はさらに困難と言われておりますが、ただ、工夫の余地はまだまだありまして、前述の船橋市では、申請書類を統一して、一定以上の滞納は専門部署に移管する、いわゆる名寄せを実施しています。
地方税法第22条には、秘密漏えいに関する罪という項目がありまして、情報共有はできるのかという課題がありますが、強制徴収公債権については情報共有が国税徴収法などにより可能ですし、私債権のほうも名寄せをして専門部署のみ情報を管理するということであれば可能です。ほかの自治体ではできています。そこで、私は可能な限り一元化に取り組みたいし、取り組んでいくべきだと考えています。
そこで伺います。債権管理の一元化について、まず、やる方向か否かという見解をお示しください。そして、強制徴収公債権の一元化、また非強制徴収公債権と私債権の名寄せについて可能性をお示しください。
次に、6番目の組織のマネジメントです。
滞納対策や債権管理に本腰を入れて取り組むなら、市役所内の組織の体制づくりということも非常に重要です。まず、全庁的な組織をつくる、庁内で横断的な組織を立ち上げ、意識や知識を共有することが有効です。伊丹市では、平成25年度、来年度から債権管理連絡協議会(仮称)を立ち上げるとのことです。
そこで伺います。この協議会は、庁内で横断的に意識や知識を共有できるようなものなのでしょうか。また、協議会の目的や時期、構成メンバー、協議内容等も一緒にお示しください。
次に、担当職員の増加についてです。力を入れて取り組むのであれば、一定のマンパワーも必要です。もちろん職員配置はバランスが必要でありますが、私は、伊丹市が滞納対策に力を入れるのであれば、職員の重点配置も可と考えています。これについては答弁が恐らく他部署になりますので、この時点で要望とさせていただきます。
次に、臨時職員の雇用や民間に業務を委託する、これも有効だと考えています。先進市では債権管理専門員として嘱託職員を公募したり、またシルバー人材センターを活用しているという例もございました。
そこで伺います。業務充実の方策として、臨時職員の雇用、また民間委託も検討に値すると思いますが、いかがでしょうか。
そして、7番目、次、差し押さえです。
差し押さえとは、再三の督促にも応じていただけない方の財産、例えば給与や預貯金、不動産などを差し押さえるという方法です。あえてピックアップしましたのは、最も効果的と言われており、市民からも悪質な滞納は差し押さえを強化すべきではとの声もいただくところからです。
先進市ではデータを作成し、毎年度差し押さえ件数はこれだけ、そして効果をこれだけ挙げましたと公表しているところもあります。差し押さえは時間と人を要しますし、差し押さえ件数を挙げることが目的ではもちろんございません。ただ、私は、伊丹市は滞納対策に対して厳しい態度で臨んでいるんだという姿勢の一環として、差し押さえの内容等に力を入れるというのは有効ではないかと考えています。
そこで伺います。差し押さえについて、改めて見解と方向性をお示しください。
次に、最後、8番目のスケジュールです。
市では現在、滞納対策(債権管理)について一定の内容と今後のスケジュールを示しています。そのスケジュールによりますと、今年度中にマニュアルと条例を策定するとのこと、それはよしとしまして、次に、25年度から2年かけて債権管理連絡協議会(仮称)等の運営に取り組み、27年4月に組織改編をするかも、はてなとのことです。正直、随分スローペースだなと感じてしまうところです。今年度中に条例とマニュアルをつくったらペースダウンするつもりなのかと、そんな印象さえ抱いてしまいます。
そこで伺います。今のスケジュールについて少々慎重かと思われますが、いかがでしょうか。そして、25年度からの2カ年で取り組むとされる事項が多いですが、これは1年で取り組めないものでしょうか。そして、27年4月に予定している組織改編はより早められるし、早めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
以上、御答弁をお願いします。
次に、2つ目の質問に参ります。食品の放射線量測定についてです。
震災からおよそ1年半、現在、改めて食の安全、安心を見直す動きが広まっています。前々回の3月議会で、私は、学校給食の放射線量測定に特化して、伊丹市ではやらないんですかとお伺いしましたところ、実施予定はないと。理由は、市場に流通する食材は安全であり、食材調達は西日本を中心に地産地消を基本としているとの御答弁でした。
しかし、私は改めて熟慮し、今、伊丹市で、現状、真に食の安全が確保でき、そし安心が市民に提供できているのか、特に安心の面でしっかりと市民に安心が提供できていないのではないか。そして、それを考慮して、給食の放射線量測定、食品の放射線量測定は、やはりするべきではないか、そう考え、今回改めて提案をいたします。
なぜ放射線量測定を実施すべきか、理由は以下の6点です。
1つ目は、産地判断では不十分ということです。厚生労働省では、東日本17都道府県にて食品の出荷制限をかけており、ことし4月には基準値も強化しています。しかし、自治体の給食測定にて、牛乳や肉などに基準値以上の値が検出される事例も起きています。これは、牛などのえさに高濃度のものが含まれていたゆえとされています。また、海産物、海のものについてはまだまだ放射能汚染について研究か至っていないとも言われています。つまり、産地判断だけでは不十分であり、真に安全を確認するなら食品自体の検査が必要です。
2つ目の理由は、食の安全の意識が改めて高まっているということです。放射能関係の課題は、これまで瓦れきの広域処理や原発の再稼働が喫緊の課題としてクローズアップされていましたが、昨今は、これからは食の安全、安心が改めて課題になってくるだろうと言われています。各地で食の勉強会も増加しています。伊丹市ももっと危機感を持って臨まねばなりません。
3つ目の理由は、市民からの要望の声が多いということです。市民の方々、特に子供を持つ保護者からは、給食の放射線量測定について実施をしてほしいという強い要望の声を伺います。市民の安全、そして安心を担う伊丹市として、この声にどうこたえられるのでしょうか。
4番目は、近隣市では実施中ということです。現在、食品の放射線量測定は近隣では宝塚、尼崎、西宮、神戸で実施中ですし、猪名川町も実施予定とのことです。考慮に入れるべき状況です。
5番目、伊丹の小学校給食はセンター方式で実施をしやすいということです。給食が自校で調理する方式の自治体は各校順番に測定して回るなどしていますが、伊丹市の場合、小学校給食はセンター方式となっております。一括で調理されておりますので、非常に測定をしやすい状況にあります。
6番目に、市民に安心を提供する責務があるということです。自治体は住民の安心と安全を守るという責務があります。食品の放射線量の測定は、安全を確保するということはもちろんですが、安心を提供するという大きな意義があります。
以上の理由から、伊丹市でも市民に安心を提供するということをより真摯にとらえ、その一環として食品の放射線量測定を実施するべきではないかと考えています。
そこで、まず伺います。当局は現在の体制で完全に安全が確保され、安心が提供できていると考えてるのでしょうか。測定を切望する市民の声にはどうこたえるのでしょうか。
では次に、具体的にどうやって食品の放射線量測定を実施するのかということです。最大の課題は測定器を確保することです。確保の方法を5点提案いたします。
1つ目は、測定器の購入です。測定器は大きく分けて2種類ありまして、1つは、精密検査ができるゲルマニウム半導体検出器というもので2000万円ほどするそうです。一方、簡易検査用はシンチレーション検出器といいまして、こちらは数百万円ほどだそうです。こちらのほうを宝塚では472万円、尼崎では300万円弱で、西宮では100万円台で購入したとのことです。シンチレーション検出器のほうでしたら伊丹でも出せない額ではないのではないかと考えます。
2つ目の方法は外部委託。外部委託を実施中の近隣自治体に伺いますと、精密検査で1回1万円から1万5000円、簡易検査で1回につき七、八千円とのことでした。例えば給食を週1回簡易検査実施するとしますと、年三、四十万円ほどです。人件費は含まれていませんが、これも伊丹では出せない額ではないと考えます。
3つ目の方法、兵庫県から測定器を貸していただくということです。県も各健康福祉事務所に1つは測定器を実は持っております。がしかし、実際の測定件数というのは非常に低調なんだそうです。本年2月の県議会本会議でも、放射線量測定について県下の市町はニーズはあれど財政的に見送るケースもある、測定器を貸し出して有効活用してはどうかとの質問があり、県の答弁は要請があれば可能な限り協力するとのことでした。交渉の余地がありそうです。
4番目の方法、業者から測定器をリースするという方法です。どこの業者がリースを実施しているか、またリース料はいかほどかなど、調査する価値はあると考えます。
5番目の方法、民間食品小売店、スーパーとの連携です。放射線の問題というのは、消費者に近いスーパーも大変関心を寄せていらっしゃいまして、例えば生活協同組合コープこうべでは独自に1600万円で検出器を買われまして、測定結果を店頭やホームページで公表しています。また、イオンやイズミヤでは外部に委託をして検査をされているとのこと、このような動きに着目をし、市内のスーパーと例えば共同で測定器を購入し、双方に使うという方法も検討できるのではないかと考えます。
そこで伺います。測定器の確保について、見解と可能性はいかがでしょうか、お答えください。
以上、1回目の質問といたします。御答弁お願いします。
答弁(藤原市長)
私から、公金の滞納対策、徴収業務に取り組みます私の決意、考え方につきましてお答え申し上げます。
第5次総合計画、市民が主体となったまちづくりの実現におきまして、自立的な行財政運営を掲げておるところでありますけれども、要は地方分権の一層の推進によりまして、まちづくりや市民サービスなどの施策を私ども市は基礎自治体としてみずから責任を持って取捨選択し、提供することが求められております。この場合、安定した財政基盤の確保として、歳入を確保することがまず重要となってまいります。そして、歳入の中でも地方自治体の存立の根幹ともいえると思いますけれども、市税は特に重要な役割を持っております。
したがいまして、住民自治を確立するためにも、まずは公正で適切な負担のルールを税制において確立すると、そして、その法令に基づいたルールに従いまして、適正な徴収業務を遂行していくということがあわせて極めて重要ではないかと私考えております。つまり、市政の基盤であります歳入の確保を図るということと、市民の皆様に負担の公平性を納得していただかなければ市政への信頼は得られないと思います。
したがいまして、何らかの事情で納税かどうしても困難だという方に対しましては一定の配慮が必要かと思いますけれども、議員御指摘のように、資力があるにもかかわらず納税に応じていただけない方に対しましては、差し押さえや換価などの滞納処分によりまして、厳正に対処する必要があると私は考えております。こうした考えで、私は、議員はフラッグシップを立てろとおっしゃったわけですが、全庁的にそういう考え方を徹底し、現実に徴収体制の強化を図ってまいったところでございます。
さらに、税以外の歳入につきましても、平成23年度から徴収対策課に債権管理グループを設置いたしまして、適正に債権管理を行うためのマネジメント強化と、これを明確化するために必要となる法制上の整備に取り組んどるのは御案内のとおりでございます。
引き続き、課税客体の捕捉、そして徴収率の向上に努めますとともに、極めて高度な専門性とオペレーション能力を有する職員が必要となってまいりますので、そうした職員の育成に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解、御協力賜りたいと思います。
私からは以上でございまして、他の質問は担当の部局長から御答弁申し上げます。
答弁(平嵜財政基盤部長)
私から、滞納対策に関します数点の御質問に順次お答えを申し上げます。
まず、アクションプランの策定並びに目標値の設定についてお答え申し上げます。
本市におきましては、既にお示ししております行財政プランにおきまして、市税の適正かつ効率的な課税事務の推進、市税の徴収率の向上、滞納防止と滞納処分の強化、市税以外の収入未済対策などに取り組むことといたしており、これが平成27年度までの間の公法上の債権や私法上の債権、この場合の「し」は「私」という字でございまして、以下同様に呼ばせていただきます。
市民の皆様にお約束したアクションプランであると考えております。
平成23年度におきましては、嘱託職員による電話催告の徹底、兵庫県住民税等整理回収チームの派遣を受けた職員の能力向上、家宅捜索や行動調査、タイヤロックなどの実践、市町村アカデミーや自治大学校への入学、総務省への職員派遣などを通じまして極めて高度かつ最新の知識を有する職員の育成に取り組み、平成24年度には高額滞納整理班の体制強化などの組織体制、国保年金課、保育課との情報共有の開始、捜索やタイヤロックの拡充により実践能力の向上などに取り組んでいるところでございます。
なお、目標値を設定すべきとの御指摘につきましては、地方税の賦課徴収が法令で定められた課税権の行使であり、これに従って徴税吏員の職務を遂行するものでありますことから、計数としての値をお示しすることは控えるべき性質ものではないかと考えております。
次に、債権管理条例の目的についてお答え申し上げます。
私法上の債権における収入未済額につきましては、平成23年度決算におきまして約4億円と全体の7.5%を占めており、行政に対します信頼性と公平性を確保していくためにも、支払いに応じていただけない方に対しましては、法的措置などにより毅然とした対応をとる必要があるものと考えております。このため、私法上の債権につきましては、その事務処理について必要な事項を定め、債権の適正な管理等を行い、全庁的に統一した方針を示すとともに、職員のコンプライアンスを徹底するために、必要な法制上の整備を行おうとするものでございます。
なお、議員から「この種の条例は制定せねばならないたぐいのものでない」との御指摘もいただきましたが、私法上の債権は、民法の規定に基づき、例えば消滅時効の確定につきましては債務者がその援用を行う必要があるため、これを行うことが客観的に困難な場合は時効による権利の取得が確定不動のものとならず、債権が永久に残ってしまう問題がございます。この点につきましては、国におきましては、債権管理事務取扱規則第30条におきまして一定の規定整備がされているものの、地方におきましては、地方自治法等に特別の規定がないところでございます。このため、これを補うため、各地方公共団体とも共通の課題として条例を設定して法務体制の整備を行っているものと伺っておりまして、本市も同様に所要の措置を講じようとするものでございます。
次に、他市で記載がある項目の有無並びに伊丹市オリジナルの項目についてお答えを申し上げます。
新たに条例を立法する場合、既存の法令に対しまして統一した体系を成立させ、整序された体系として制定する必要があるものと考えております。この観点から、議員御指摘の項目につきましては、本市が策定を予定しております債権管理条例、これ案の段階といいますか、イメージの段階でございますが、計画書の提出及び台帳の整備につきましては条例による規定整備を考えておりますが、強制執行や徴収停止につきましては、上位法令である地方自治法施行令にそれぞれ根拠規定がありますことから、重複した整備は想定していないものでございます。
また、オリジナルの項目のお尋ねに対してでございますが、これを定義づけることは極めて難しいものと考えておりますが、当該条例案が実行力を有した取り組みとなりますよう、私どもが調べた限りにおきまして他市にはない内容といたしましては、これまでの私法上の債権管理で生じていた課題を解決する必要があるものと考えておりますことから、チェック体制を強化するために指示系統を明確化し、ガバナンスの強化を図る規定を検討してるところでございます。
次に、条例の名称をわかりやすいものにすべきではないかという点でございますが、条例の名称は法制実務におきまして題名と呼んでおりますが、この題名は条例の内容を簡潔かつ的確に表現するものでなくてはならないものとされております。このため、御指摘の名称は立法の主意を正確に表現するものとしておのずと収れんされるものと考えておりますが、御意見は広く拝聴してまいりたいと考えております。
また、市民の皆様への説明については、広報紙の税、財政特集号などを通じて、収入未済額が発生することのないよう、お支払いしていただくべき代価につきましては期限内納付を行っていただけるよう御説明をしてまいりたいと考えております。
次に、マニュアルの周知徹底の方法及び具体的な活用方法についてお答え申し上げます。
適正な債権の管理を実施しますために「事務執行マニュアル」と「訟務マニュアル」を策定することとあわせて、債権管理に係る人材育成を人事当局とも調整しながら取り組むことといたしております。
「事務執行マニュアル」につきましては、財務に関する基礎研修として、各債権所管課の職員や新規採用職員を対象として、基本的な技能として取得させることにより、法令に基づいた正確な事務処理を学ぶことを想定いたしております。
また、訟務マニュアルにつきましては、主として訴訟の手続を行う必要性が発生している債権所管課の職員を対象といたしまして、民法や民事訴訟法、民事執行法などの訟務に関する基礎研修を実施することにより、支払い督促や訴えの提起、準備書面の作成や証拠に基づく立証、財産調査や強制執行の手続など私法上の債権に係る知識や技能を取得させることにより高い公務遂行能力を有し、もって未納者に対して毅然と交渉できる職員の育成に努めることを想定いたしております。
次に、債権管理の一元化についての見解、並びに名寄せの可能性についてお答え申し上げます。
市税、国民健康保険税、保育料につきましては、根拠法令におきまして滞納処分規定があり、国税徴収法第141条の質問検査権が付与されておりますことから、いわゆる名寄せを行いまして情報の相互利用による管理を開始したところでございます。
議員御指摘のとおり、一層の効率的な滞納処分を実施するためには、将来的には、統括されたオペレーションのもとで実践能力を備えた職員を一括して配置する専門的な組織も必要となってくるのではないかと思慮をしているところでございます。
一方、私法上の債権におきましては、こうした滞納処分規定がないことから、公法上の債権と一括して管理することは地方公務員法や地方税法等の関係法令に抵触するおそれがあることから、すべてを一括化して行うことは難しいものと考えております。しかしながら、私法上の債権同士を一括化することは可能と考えており、まずは私法上の債権を担当する職員が必要とする法令上の知識や訟務実務につきまして取得することを優先させた上で、組織のあり方等につきましては人事当局と相談してまいりたいと考えております。
次に、仮称でございますが、債権管理連絡協議会のメンバー並びに協議内容についてお答えを申し上げます。
この協議会の目的につきましては、可能な限り債権の一元化に向けた実行力のある取り組みを実施していくことと、全庁的に統一された債権管理の取り組みが継続的に行える体制の構築でありますことから、現在のイメージでは、構成メンバーにつきましては、債権管理担当部長、人事担当室長、債権を有する各部署の担当課長などを想定しているところでございます。協議内容につきましては、一元化に向けた取り組みを行う上で、個人情報保護及び情報共有における制限に関することや適正な事務処理を行うための様式等の規定整備、情報管理におけるシステムの整備、組織としての体制づくりなどを想定しているところでございます。
次に、臨時職員の雇用、民間委託についてお答え申し上げます。
公法上、私法上の債権を問わず、地方公共団体が扱う公金は地方自治法第243条の規定に基づき、原則として私人、「わたくしじん」でございます、私人による公金の取り扱いが禁止されているところでございます。例外として、同法施行令第158条により、使用料や手数料、賃貸料などにつきましては委託が可能とされているほか、国民健康保険法や地方公営企業法などの個別法例におきまして私人への徴収や収納事務の委託が可能とされているものがございます。
一方、地方税の徴収に係る合理化や効率化の推進につきましては、平成17年4月1日付、総務省の自治税務局企画課長通知におきまして一定の考え方が示されており、公権力の行使に当たらない滞納者に対する電話による自主的納付の呼びかけ業務やコンビニエンスストアによる収納業務などは民間委託が可能とされておりますが、督促や差し押さえ、公売などの公権力の行使は、地方税法の規定により徴税吏員が行う行為とされておりますことから、補助的な業務を除き委託はできないものとされております。本市におきましても、引き続き関係法例に留意しつつ、合理化や効率化のための取り組みは一層推進してまいりたいと考えております。
次に、差し押さえについての見解と方向性についてお答え申し上げます。
まず、見解について申し上げます。差し押さえにつきましては、地方税法から準用された国税徴収法によって手続が定められており、同法第47条第1項第1号におきまして、滞納者が督促を受け、その督促に係る地方税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、財産を差し押さえなければならないものとされております。したがいまして、徴税吏員が裁量権を有するものではございませんので、引き続き法令の規定に従って公務を遂行してまいりたいと考えております。
次に、方向性としての考え方についてお答えを申し上げます。
差し押さえにつきましても、件数をふやして行うことが目的ではなく、滞納処分としての換価性を踏まえ、預金や給与を初め、動産、不動産、有価証券など、その換価価値と資産評価をあわせて判断するよう能力の向上に努めております。加えまして質権、抵当権、先取特権、留置権並びに相続などの複雑な権利関係を解読したより高度な滞納処分に努めているところであり、今後とも本市徴税吏員の高いモチベーションを支援し、維持してまいりたいと考えております。
最後に、滞納対策(債権管理)に取り組む組織を早期に立ち上げるべきではないかとの御質問にお答え申し上げます。
公法上、私法上の債権を通して本市が抱えております課題は、法令の知識の取得、滞納処分の手法の取得、オペレーションを図ることができる職員の育成にあるものと考えております。私ども職員が市民の皆様から信頼を得た公務を遂行していくためにも、これらの課題をクリアしていく必要があることから、まずは人材育成を優先して取り組むことといたしております。その結果につきましては、必然的にガバナンス体制のあり方として人員配置や組織の問題になってくることから、引き続き人事当局と相談してまいりたいと考えているところでございます。
答弁:二宮健康福祉部長
私からは、食品の放射線量測定についての御質問にお答え申し上げます。
厚生労働省は、食品中の放射性物質につきまして、平成23年3月から暫定規制値を適用し、暫定規制値を下回っている食品は健康への影響はないと一般的に評価され、安全性は確保されておりましたが、より一層の安全、安心を確保するため、平成24年4月1日から新たな基準値を適用しているところでございます。
これまでの暫定規制値におきましては、放射性物質を含む食品からの被曝線量の上限を年間5ミリシーベルトとしておりましたが、新基準では年間1ミリシーベルトに引き下げ、これをもとに放射性セシウムの基準値を設定しております。これはより一層食品の安全と安心を確保するために、事故後の緊急的な対応としてではなく、長期的な観点から新たな基準値を設定したものです。具体的には、一般食品、乳児用食品、牛乳、飲料水というように食品区分を変更し、年齢や性別、体格や代謝を考慮し、また、放射線への感受性が高い可能性があるとされている乳幼児や子供等、すべての世代に配慮した基準となっております。
食品中の放射性物質の検査については、厚生労働省が定めたガイドラインに基づいて、都道府県と保健所設置市及び特別区において計画的に検査を行っております。ガイドラインには、こうした地方自治体が検査を行うに当たり、対象となる品目、検査頻度など基本的な考え方を示しています。これら地方自治体で実施された検査結果につきましては厚生労働省に報告され、ホームページで公表されておりまして、その件数は月平均で約1万8000件に上っております。
兵庫県においては、県内に流通する食品の安全を確保するため、福島県産及びその周辺県産の食品を中心として食品衛生法に基づく抜き取りによる放射性物質の精密検査を実施しており、最近の検査結果でもほとんどの品目で放射性セシウムは検出されておりません。また、県では健康福祉事務所などに放射能簡易測定機器を設置し、管内の消費者からの食品に関する相談や食品関係施設から製造、加工、販売した食品に関する相談があった場合、必要に応じ検査を実施しております。簡易検査の結果、食品中の放射性物質が基準値を上回るおそれがある場合には、県立健康生活科学研究所の精密分析器による検査を実施するなど、検査、相談体制の強化を図っております。
本市にお住まいの方につきましても、伊丹健康福祉事務所に申請をすれば検査は可能です。その場合、購入時期、産地、加工地等を確認し、検体の提供に同意をしていただいた上で実施をしております。しかしながら、その検査件数の実績といたしましては、平成23年度は県下全体で45件、平成24年度は現在のところ5件とお聞きしており、その利用頻度は非常に少ない状況にあります。
こういった状況の中、本市におきましては、現在のところ食品の放射線量測定は実施しておりません。
現在の体制で完全に安全が確保され、市民に安心が提供できているのかという御質問でございますが、基準値を上回る食品は出荷制限等がなされるため、市場に流通している食材については基本的には安全であると認識しているところであり、一定の安全、安心が保たれているものと考えております。
また、測定器の確保についてでございますが、幾つかの方法について議員から御提案をいただいておりますが、また今、御案内にもありましたけれども、兵庫県の例で申しますと、購入の場合は簡易測定器であれば1台100万円程度、精密分析器であれば1台2000円程度(後段に訂正発言あり)となっているようでございます。機器の購入やレンタル、外部委託につきましても、緊急性、代替性、費用対効果等を十分に検討する必要がございます。
一方で、放射能の汚染状況や健康への影響についてはまだまだ不明なことも多く、市民の皆様が安心して食事ができるように必要な方策には柔軟に対応してまいりたいと考えております。
現在のところ、測定器を設置し、検査を実施することは考えておりませんが、引き続き県の検査結果の推移や動向等を注視しながら、食の安全、安心に努めてまいりたいと考えております。
相崎発言:2回目
まず、食品の放射線量測定についてです。
自治体は住民の安全と安心を守るという重大な責務を有しています。御答弁では、食について一定の安全、安心が保たれていると考えているとのことでした。安全は保たれていると考えてるなら、そうなのかというところなんですが、一方で、安心は本当に保たれているのでしょうか。市民に安心は提供できているのでしょうか。安心を提供するためにどんなアクションをしているのでしょうか。私は、伊丹市の問題は、食の安全、安心について特に市民に安心が提供できていないということが問題と考えており、その一環として食品の放射線量測定を実施してはどうかと申し上げているところです。
近隣でも、尼崎、宝塚、西宮では放射線量の測定を実施しています。スーパーでも実施しています。安心を提供しているのです。しかし、伊丹は、今、食品のチェックは行っていない。伊丹市民の中で不安に感じる方がいらっしゃるのも当然のことです。
では、放射線量の測定をするのに一体どれくらいお金がかかるのかということで、私これ申し上げました。購入しますと、簡易検査機で100万円台で購入可能ということです。また、検査を外部委託すれば、簡易検査で1回七、八千円です。いずれも伊丹市として出せない額ではないと考えています。また、県から測定器を借りること、地元スーパーとの連携等々は詳しい答弁がございませんでしたが、こちらも検討が可能だと考えています。
答弁の最後に、引き続き食の安全、安心に努めてまいりたいとありました。この言葉に大いに期待をいたしまして、今後より一層食の安全、安心、特に市民に安心を提供するということをより真摯に考えていただきたい。その一環として、食品の放射線量測定も前向きに考えていただきたい。今後、引き続き声を上げてまいります。
滞納対策(債権管理)についてです。私が申し上げたいことは大きく4点ございます。
1つ目は、市役所一体となって全庁的に取り組むという意識を共有するということです。申し上げておりますように、市が有する債権は60種類あります。各担当部署が徴収業務を担っています。力を入れて滞納対策に取り組んでいくということであれば、全庁的にその意識を共有し、取り組んでいくこと、これがまずもって大事だと考えています。
そして2つ目、債権を一元化していくべき、強制徴収公債権から一元化、そして非強制徴収公債権、私債権も検討していく、これは前向きな御答弁がいただけたのではないかと考えています。
3つ目、その一元化を推し進めるには組織の体制づくりが必須ということです。また、マンパワーも必要ということです。このあたりは総務部にも期待をしたいと思います。
4つ目、そしてこれらはスピーディーに進めていただきたいということ、現在のスケジュールでは少々スローペースかと考えています。人材育成は重要ということでしたが、それを大事にするとともに、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思っております。
いずれにしましても、めり張りのある徴収で歳入の確実な確保と、そして不公平の是正、今後もしっかりと取り組んでいきたいと思っております。ともに引き続き議論を重ねていければと思っておりますので、よろしくお願いします。
以上で質問終了いたします。