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2011年 9月議会 (※全文表示はここをクリック!)

(1回目発言:相崎)

ただいま議長より発言の許可がございましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、1つ目の質問。自治体の電力購入について伺います。
皆さんはPPSなるものを聞いたことがありますでしょうか。関西電力以外から電力を購入することができるのを御存じでしょうか。実は、ここに市の支出を削減できるヒントがございます。
2000年の電気事業法改正により電力が自由化となり、現在は50キロワット以上の高圧電力を使用する施設なら自由に電力を購入することができます。一般電気事業者、つまり関西なら関西電力以外からも電力が購入できるのです。
では、どこから電力が購入できるのか。それが、その購入先がPPSと言われるところです。これはパワープロデューサー・アンド・サプライヤーの略でありまして、特定規模電気事業者のことです。独自に電気を供給している事業者でありまして、例えばガス会社などが事業を行う上で発生するエネルギーを供給しているというケースや、また、独自で太陽光発電を行っているなどのケースがありまして、9月1日現在、全国で45社のPPSが存在しています。
では、このPPSから電力を購入すると、一体どんなメリットがあるのか。大きく2点のメリットがございます。
1点目は、電気料金を削減することができるということです。PPSは基本的に使用料金が安価、安くなっています。ゆえに使用者は同じ量の電気を使用しながら、かつ支払う電気料金は安くなるということになります。経費削減の面から大変魅力的なメリットであります。
2点目のメリットは、エネルギーの見直しということです。東日本大震災以降、原子力発電を見直して代替エネルギーへ転換していこうということが求められておりますが、関西電力などの一般電力会社は原子力発電の依存率が高い電力会社であります。PPSの導入を進めていくことは、原発依存率の高い日本のエネルギー政策を見直していく布石になるという大きな視野でのメリットにもつながるのです。
では、逆にデメリットは何なのか。これまでPPSの最大のデメリットとされてきたのがCO2の排出量です。PPSが供給する電力というのは主に火力発電によるものが多く、よってエネルギー発生時のCO2排出量が多いという傾向があります。したがって、これまでは環境の観点からPPSの導入に二の足を踏むケースも見受けられました。
しかし、関西電力などの一般電気事業者のCO2排出量が少ないというのは、すなわち原子力発電の依存率が高いということでありまして、東日本大震災以降、CO2の排出量が少なければよいという価値判断に変化が生じております。
では、PPSの懸念点は何か。対処法とともに御説明します。
1点目の懸念は、ちゃんと電力が安定して供給されるのかということですが、もしPPSからの電力供給に問題が生じた場合は、バックアップ電源として位置づけられている一般電力会社、関西電力などからの供給に切りかわりますので、使用者側にとって電気がストップしてしまうということはございません。
2点目の懸念は、PPSの事業者が倒産しないか、事業を停止してしまわないかという点ですが、関西電力に比べると確かに小規模なPPSもございますが、契約の際に、問題が発生したときはPPS側が責任を持って電力供給と損失補償を行う約束を交わすことで安定性が担保できると言われております。
では、このようなPPSの導入、一体どのくらい普及をしているのか。
実際、多くの自治体が導入しています。全国市民オンブズマン連絡会議の調査によりますと、都道府県ではPPSが存在する39都道府県のうち24が導入しており、1位の宮崎県では導入率52.6%、また、政令市では19市中16市が導入をしており、1位の横浜市では47.9%の導入率です。そのほかの自治体でも多数導入されておりまして、近隣ですと尼崎市、西宮市、神戸市などが導入をしております。
また、自治体以外でも皇居、経済産業省、海上保安庁、国立大学法人など、また民間では東京メトロ、三越、東レ、ホテル日航など、さまざまな施設で取り組まれています。
では次に、PPSの導入で一体実際にどのくらい削減効果が出るのかということです。
東京都立川市では昨年度、市立の競輪場の電力をPPSに東電から切りかえたところ、電気料金が年間およそ1700万円削減できたそうです。今年度からは公民館や学校など、市内53カ所に拡大をしています。また、奈良県大和郡山市では昨年度、市庁舎にPPSを導入し、電気料金を年間およそ250万円削減し、今年度は市内34カ所に導入を拡大し、年間およそ1700万円の削減が見込まれているそうです。
では、伊丹市の状況はどうなっているのでしょうか。
実は既にテスト導入中です。昨年、伊丹市電力の調達に係る環境配慮方針なるものが作成されています。これはPPS導入の際に金額だけでなく環境の面からも検討できるようにと、一定のガイドラインを設けたものです。このガイドラインに即して入札を行い、今年度からエネサーブというPPSからの電力購入を実施しています。場所は市内の雨水ポンプ場3カ所、雨水貯留管1カ所で実施中です。
気になる削減効果ですが、予想額で年間およそ290万円。実際では4月から8月の5カ月で110万円程度が削減、実際にできているとのことです。
雨水ポンプ場などでテスト導入した理由は、PPSというのは基本料金が安価に設定されておりますゆえ、電気使用料が比較的少ないタイプの施設に最適とのことでありました。
以上、申し上げてまいりましたが、私はこれらの状況をかんがみ、伊丹市でもPPSの導入について、支出削減と脱原発の観点から一層推進してまいりたいと、強く考えているところです。
そこで、数点伺います。
その1、PPSの導入について、基本的に市はどのような見解を持っているのでしょうか。まずこれをお聞かせください。
その2、PPS導入を検討するに当たり、一度市内各施設の電力実態調査を実施してはいかがでしょうか。大和郡山市では、数値を担当者が簡単に打ち込めるフォーマットをパソコンのエクセルで作成しまして全庁調査を実施し、大変有効であったとのことです。全庁で電力実態調査を行うことは、もちろんPPS導入の判断材料にもなりますし、そうでなくても電力の使い方を改善できたり契約方法を見直したりということでさまざまな効果が見込めます。節電をきっかけに高まっている電力への関心を高めるためにも、一度電力の実態調査を実施するのは一定有意義だと考えますが、見解をお教えください。
その3、庁内においてPPSの担当を決めるということはいかがでしょうか。現在、電力会社との契約は各課、各施設で実施されていますが、PPS導入もそれぞれに検討すると非常に効率が悪く、導入も進みにくいところです。いずれかの部署が基本的なPPS担当となり、調整役、まとめ役として一括して進めていくのが望ましいと考えますが、見解をお教えください。
その4、PPS導入について具体的な可能性はいかがでしょうか。公営企業も含めて広く確認をさせていただきたいところですが、ピックアップして伺います。1、市庁舎、2、学校、幼稚園、3、共同利用施設、4、文化施設。以上についてPPS導入の可能性をお教えください。
では、2つ目の質問に移ります。税金滞納の対策についてです。
皆さんは現在、伊丹市において一体税金の滞納額が幾らくらいあるか御存じでしょうか。平成22年度収入未済額において、市税17億、国民健康保険税34億、市営住宅等使用料1億4000万、保育所保育料9000万、児童くらぶ育成料400万の滞納がございます。驚きの高額であります。
もちろんやむを得ない事情で滞納せざるを得ない方というのもおられまして、その場合には御相談をいただき、徴収猶予、分納納付などの対応をさせていただかねばなりません。しかし問題は、支払い能力は一定有しているにもかかわらずお支払いいただけないという、いわば悪質な滞納であります。これは税負担の公平性という点で大きな問題です。きちんと納付されている方が損を見るというような不公平は許されません。
また、確実な歳入の確保の点でも問題です。本来入ってくるべき税金を取り漏れているのは、さまざまな方法で財政難に立ち向かっている今、好ましくはありません。
私もかねてより税金の滞納は大きな課題であると気になっており、今回、税負担の公平性と歳入の確保を目的としてテーマに取り上げました。
では、伊丹市、これまでどんな対策をしてきたのか。さまざまに対策を講じております。平成18年度にインターネット公売の開始、20年度に休日納税相談の開始、21年度に担当参事の配置、県滞納整理回収チームからの職員派遣、不動産公売の実施、22年度にコンビニ収納の開始、夜間電話催告の開始、償却資産の実地調査、23年度、今年度は徴収対策課の設置、債権回収経験者2名の採用、県からの2回目の職員派遣、休日電話相談の開始、行動捜索、タイヤロックの実施など、さまざまに行っております。
結果、税の徴収率は平成22年度決算で現年課税98.6%、過年課税で88.59%、合計94.48%の徴収率です。特殊事情はございましたが、それを除いても一定評価できる状況となっています。
滞納対策について重点的に取り組んでいることは理解しておるところですが、ただ、まだ見直せる点があるのではないか、取り入れられる方法があるのではないかとも感じているところです。
そこで、以下さまざまな対策方法について取り上げて伺ってまいります。
ちなみに税滞納対策は大きく3本の柱があると考えています。1つ目が現年分収納率の向上。例えば支払いやすい体制を整えたり、払い忘れのようなケースの収納に対応すること。2つ目が累積滞納額の削減。多額の滞納に対する対策や回収不能債権の整理など。3点目が収納体制の整備。職員の配置や人数の件と、また民間委託等。
この3本柱だと考えており、それぞれにさまざまな方策が存在しますが、今回は総合して、特に検討いただきたい事柄をピックアップします。
1つ目、マニュアルの作成です。市職員は随時部署異動がございまして、新しく徴収担当になられた職員は一から法律や条例を勉強し、試行錯誤しながら業務遂行することになります。業務を効率的に進めるには、一定の徴収マニュアルを作成することが有効ではないでしょうか。
例えば芦屋市では、平成19年に債権管理取扱指針なるものを作成しています。また、伊丹市の行財政プランでは、各担当部署の徴収マニュアルの作成に努めるとの記載もございます。
そこで伺います。関連する法律や条例、また対策方法などをまとめたマニュアルを作成しまして、知識やノウハウを整理し伝えていくことを望むところですが、いかがでしょうか。
また、行財政プランにあるマニュアル作成というのは、いかなるものを想定しているのでしょうか、お教えください。
2つ目、アクションプランの作成です。例えば静岡県の浜松市では市税滞納削減アクションプランなる計画を作成し、具体的な対策方法や目標数値を定めています。伊丹市でも方法や数値目標、また期限などを設定した計画を作成し、体系的、計画的に対策に取り組んでいければと考えるところですが、見解はいかがでしょうか。
3つ目、差し押さえです。再三の督促にも応じていただけない滞納者に対し、銀行口座の預金を使えなくする等、市は動産、不動産の差し押さえを実施することができます。当市では平成22年度273件の差し押さえを実施しています。
他市を調査してみますと、例えば大阪府堺市では、差し押さえを14年度は334件、平成21年度は2829件ということで、件数において8.5倍という力の入れようです。もちろん単純に差し押さえをふやせばよいというものではございませんが、当市でも差し押さえに一層力を入れるのも有効ではないかと考えるところです。
そこで伺います。伊丹市における差し押さえの現状について、これが妥当な件数なのか、また、もっと実施していくべきなのかなど、どう認識をされているのでしょうか。差し押さえを一層重点化するのも一つと考えますが、いかがでしょうか、お教えください。
4つ目、行政サービスの制限です。宮崎市や宮城県の白石市などでは、税の滞納者に対してさまざまなサービスを制限しています。例えば公営住居に入居できなかったり、保育所の減免や幼稚園の補助が受けられなかったり、高齢者サービスが制限されたり、また、法人向けでは入札に参加できなかったり、融資や補助が受けられなかったりなど、各種行政サービスを滞納者に対し制限しています。翻って、伊丹市は現在、こういった行政サービスの制限は行っておりませんが、検討の余地があるのではないかと考えています。
そこで伺います。当市において、税滞納者に対する行政サービスの制限ということについての見解はいかがでしょうか。
5つ目、債権の一元化ということです。滞納というのは、市税のほか国民健康保険や市営住宅の家賃や保育所の保育料や小学校の給食費など、さまざまあります。滞納者は重複して滞納しているケースも多く、担当の例えば徴収対策課や国保年金課や住宅課、保育課、教育委員会などが個々に対応するのは非効率でありまして、支払う側も便利が悪いところであります。
そこで、昨今はこういった債権を一元して担当する部署をつくるといった自治体も見えてきました。千葉県船橋市では債権管理課なる部署を設けまして、こういった債権を一元して管理しています。伊丹市では徴収対策課と国保年金課の連携などを実施しておりますが、より一元化した方向性がベターかと考えるところです。
そこで伺います。税の滞納について、一元管理を視野に連携を強化したり、例えば高額滞納者について一元化していくなど進めていきたいと考えるところですが、見解をお教えください。
6点目です。氏名の公表、条例化ということです。アメリカでは10以上の州で、税滞納者の氏名を新聞やインターネットで公表をしているそうです。日本でも神奈川県小田原市や静岡県島田市などでは、条例に、一定以上税金を滞納した人は氏名を公表すると盛り込まれています。ただ、これらの自治体も実際に公表したという例はなく、どちらかといえば税滞納に市は厳しい態度で臨むという決意表明的なものであるとも聞くところであります。また、他市では市税の滞納に対する特別措置に関する条例など、滞納対策について条例を定めているというところもあります。
氏名の公表や条例作成は、個人的には伊丹市ではその段階ではないと考えてはいますが、見解を問うておきたいと思います。いかが受けとめておられますでしょうか。
以上、1回目の質問といたします。御答弁をお願いします。

 

(答弁:市民自治部長)

私からは、自治体の電力購入に関します数点の御質問にお答えいたします。
最初に、PPSからの電力購入について、市の基本的な見解でございますが、議員御指摘のように我が国の電力小売自由化につきましては、平成12年3月に特別高圧で契約電力2000キロワット以上の需要家において開始され、平成17年4月以降には、高圧で50キロワット以上の需要家においてPPSから電力購入ができるようになったところございます。
議員の御質問の中にもありましたように、施設の電力を関西電力以外のPPSから供給を受ける場合のメリット、デメリットを上げますと、メリットといたしましては、1、電気料金が入札により決定され、また、1年単位で料金の安い業者を選定することができるため、経費の節減につながる。2つ目といたしまして、多様な発電方式を採用している事業者からの買い取りが可能になるということがございます。
また、一方、デメリットといたしましては、1、関西電力よりも温室効果ガスの排出係数の高い事業者と契約すると、温室効果ガスの排出の増につながる。2つ目といたしまして、契約したPPSが倒産した場合等には、関西電力の割高な保障電力を使用することとなる。3つ目といたしまして、関西電力との割引契約が無効になりますので、関西電力に契約が戻る場合、改めて交渉が必要になる。4つ目といたしまして、計量器の変更等の設備投資が必要な場合がございます。5つ目といたしまして、毎年契約を更新する必要がございますので事務量の増加につながる等々がございます。
以上のことを念頭に置きまして、平成21年度から関係部局で協議を重ね、平成22年度には環境省が平成22年2月に定めました「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針」に基づき、一定以上の環境配慮を実践している事業者を選定するための伊丹市電力の調達に係る環境配慮方針を策定するとともに、契約を行うための事務的な環境整備を行ってきたところでございます。
その上で、より安い電気料金が期待できることから、下水道の施設のうち高圧受電しております金岡雨水貯留管や渕雨水ポンプ場などの排水施設4カ所において、本年度より試験的にPPSでありますエネサーブ株式会社と電力託送契約を締結し、4月からの電力の供給を受けているところでございます。
なお、このPPSからは電力の一部をバイオマス発電にて供給しておりますことから、グリーン電力証書の発行を受けております。
これら施設の平成22年度の電力量使用実績といたしましては約160万キロワットアワーとなっており、この実績に基づく試算では平成23年度予算におけます電気使用料は約290万の削減が見込まれ、また、本年4月から8月までの5カ月の実績においても、施設ごとの使用電力量に増減があるものの、前年と比較し約110万円の削減効果が認められているところでございます。
今後の方針といたしましては、環境配慮方針をクリアしている事業者であることを前提条件に、先ほど申し上げましたメリット、デメリットを考慮しつつ、PPSからの電力購入を検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、全庁的な電力の実態調査についてでございますが、PPSからの電力購入に当たりましては、特別高圧受電施設及び50キロワット以上の高圧受電施設であることが前提となりますことから、これらにつきましては電気料金の請求状況で把握できますことから、調査の実施は可能であると考えております。
次に、PPS導入の担当部署を決め、一括して推進するのが望ましいとの御意見についてでございますが、PPSからの電力購入に当たりましては、経費の削減、環境への影響、施設の安定的な運営と、さまざまな見地からの検討が必要であり、現時点ではそれらのすべてを判断できる部署がございませんので、総合見地的については政策室が、環境配慮については環境保全課が、財政的見地については財政企画課が、設備の技術面では営繕課が、契約については契約・検査課が指導し、各施設の管理部門において判断する体制となっております。
今後は関係部局の連絡会議等を設けまして、そういったことも含めて検討していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、特に市庁舎、学校園、共同利用施設、文化施設にてPPSからの電力購入の具体的な見解はとの御質問でございますが、先ほど申しましたとおり、特別高圧受電施設及び50キロワット以上の高圧受電施設については導入の検討対象になると考えておりまして、市庁舎及び学校園、文化施設の大半と共同利用施設の一部が該当いたすところでございます。
しかしながら、環境配慮方針をクリアしている事業者であることを前提条件とし、かつ安い料金で安定的に電力を供給できるPPSでなければ具体的な検討に入ることができません。御承知のとおり、東日本大震災により全国的に電力供給不足の傾向が続いておりまして、余剰電力の確保が現在困難ではないかというふうなことも思っております。今のところ、新たなPPSとの契約は期待できないのではないかというふうに考えておるところでございます。
PPSからの電力購入につきましては、単に経費節減だけではなく、エネルギー政策とのあり方ともかかわる重要な課題と考えておりまして、今後はPPSの動向を注視しつつ、継続的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 

(答弁:財政基盤部長)

議員から、税金滞納の対策について数点御質問いただきましたが、市民税や国保税などの公法上の債権と、水道料金や各種貸付金などの私法上の債権に分けて、順次御説明を申し上げます。
まず、徴収マニュアルを作成すべきでないかとのお尋ねにお答えを申し上げます。
行財政プランにお示ししております徴収マニュアルには2つの記述がございます。
1点目は、市税担当部局におけるマニュアルについてでございます。市税に関する賦課徴収のための手続につきましては、地方税法に定める総則や特則、滞納処分及び反則取り締まりに加え、これらを準用する国税徴収法や国税反則取締法において租税秩序の維持が図られているところでありますことから、マニュアルの有無にかかわらず、徴税吏員が個々に行う事務に差異は生じないところでございます。
一方、人事異動に伴う内部事務の引き継ぎという点におきましては、法令解釈の手引きや質疑応答集、司法における判例などについて組織的な引き継ぎ体制に課題があるものと考えております。このため、行財政プランの策定にあわせて、差し押さえや換価処分など通じて得られた法令解釈などの知識を徴税吏員全体で共有できるシステムをマニュアルとして残していこうとするものでございます。
また、2点目として、私法上の債権管理に対するマニュアルの作成がございますが、これは債権管理の一元化に関するお尋ねとあわせて後ほどお答えを申し上げます。
次に、数値目標を設定したアクションプランを作成すべきではないかとのお尋ねにお答えを申し上げます。
本市におきましては、昨年お示しした行財政プランが、平成27年度までの間の公債権や私債権の取り組みについて市民の皆様にお約束したアクションプランであると考えております。
公債権におきましては、平成23年度におきまして5月から電話応対経験者による夜間や休日の電話催告業務を実施したほか、兵庫県個人住民税等整理回収チームの応援を受けて6月に家宅捜索を実施した結果、滞納本税全額を回収できたところでございます。また、7月にはタイヤロックを実施し、これまで2台の換価処分を実施いたしました。
また、徴税吏員の育成として、自治大学校税務専門課程や全国市町村国際文化研修所の政策実務系研修へ職員を1名ずつ派遣したほか、国保年金課で徴収に当たっている職員を徴収対策課に兼職させることにより捜索、調査の能力向上に努めているところでございます。
本市といたしましては、地方分権のもとで本市の徴収対策を推進するためには、計数目標値の定めより優先して、まずは自主的な判断と執行の責任を果たし、徴税吏員として法令に基づいた実践的な実務を学んでいくことが極めて重要であると考えているところでございます。
次に、差し押さえを強化すべきではないかとのお尋ねにお答えを申し上げます。
議員御指摘の差し押さえは、地方税法や同法から準用された国税徴収法によって手続が定められており、滞納者が督促を受け、その督促に係る地方税をその督促状を発したときから起算して10日を経過した日までに完納しないときは財産を差し押さえなければならないものとされております。したがって、徴税吏員が裁量権を有しているものではございませんので、引き続き法令の規定に従って公務を遂行してまいりたいと考えております。
次に、税の滞納者に対する行政サービスの制限を検討してはどうかとのお尋ねにお答えを申し上げます。
他の地方団体において、税の滞納者に対して行政サービスを制限している団体があることは仄聞しているところでございます。本市といたしましては、市税の滞納につきましては関係法令の規定に従って滞納処分や換価処分がされるべきものであるものと考えております。
また、行政サービスであっても私法上の契約に基づいて発生する給付と制限の考え方につきましては、当該制度を所管する担当部局において関係法令等に基づいて判断されるものと考えております。
次に、市の有する債権はすべて一元化して管理すべきじゃないかとのお尋ねにお答えを申し上げます。
これまでも議員各位からは、債権管理を一元化する必要について御指摘をいただいてるところでございますが、未収金を一元管理することは現行法制度上極めて困難であることについて、まず御説明をさせていただきます。
伊丹市が所有する債権、いわゆる未収金につきましては、法令上の発生原因や処分に基づき、大きく3つに分類することができるものと考えております。
1つ目が公法上の債権であり、地方税法の滞納処分の例によるものとして強制徴収手続が規定されている債権で、債権回収に当たり裁判所の手続が不要であるものでございます。一例を挙げれば、地方税や国民健康保険税が該当いたします。
2つ目が、公法上の債権ではありますが、個々の法令で強制執行手続が規定されていない債権であるため、債権回収に当たりましては裁判所の手続が必要となるものでございます。一例を挙げれば、生活保護費返還金などでございます。
3つ目は、私法上の債権であり、市と市民が相互の合意に基づいて発生する債権で、民法上の契約行為によるものとされていることから、債権回収に当たりましては裁判所の手続が必要となるものでございます。一例を挙げれば、災害援護資金貸付金や入学支度金貸付金などでございます。
公法上の債権として強制執行手続が規定されている債権につきましては、裁判所の債務名義を取得する必要がないため、法令に即して滞納処分や換価処分を進められるものの、徴税吏員が職務上知り得た秘密、いわゆる滞納者情報につきましては、市役所内部であっても地方税法第22条の秘密漏えいに関する罪が適用されることから、情報を共有するためには法令上許容される裏づけが必要となってまいります。
滞納者に対する情報の相互利用につきましては、市民税や国民健康保険税、介護保険料などにつきましては、根拠法令におきまして滞納処分規定があることから国税徴収法第141条の質問検査権が付与されており、これに基づきまして地方税法第22条の秘密漏えい罪が問題になることはないものと解されておりますが、私法上の債権におきましてはこうした滞納処分規定がないことから、市で有する債権を市税と一括して管理する、いわゆる「名寄せ」を行うことは極めて難しいものと考えております。
したがいまして、関係法令上、守秘義務が厳格に規定されている中におきましては、公法上の債権と私法上の債権を共有して一元管理することに一定の限界があることを御理解賜りますようお願い申し上げます。
一方、私法上の債権は市であっても裁判所の債務名義がなければ強制執行できず、仮に裁判で勝訴した場合であっても第三債務者をみずから調査する必要があることから、これまで市として納付交渉に努めてきたところでございますが、行財政プランでもお示ししておりますとおり、今後は再三にわたる交渉に応じない悪質な滞納者に対しましては訴訟などの法的措置により未収金の回収に努めてまいりたいと考えております。
そのために訴訟制度の概要や証拠書類の作成、強制執行の手法など、行政になじみの薄い訟務の手続につきまして徴収対策課でマニュアルを作成し、制度を所管する担当課の法的措置の支援をしてまいりたいと考えております。
最後に、市税滞納者の氏名公表や条例化を検討すべきでないかとのお尋ねにお答え申し上げます。
議員御指摘の他の地方団体がどのようなお考えで法制化したのか定かではございませんが、本市におきましては、地方公務員法第34条第1項の守秘義務や地方税法第22条の秘密漏えいに関する罪など、関係法令に抵触するおそれがあるのではないかと考えており、現行法制度上、極めて難しいものではないかと考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

 

(2回目発言:相崎)

 それぞれに御答弁をいただきました。
まず、PPSからの自治体の電力購入についてでありますが、私はこれを伊丹市でも、現在テスト導入中ですが、より積極的に導入を進めていきたいと強く考えているところです。
理由は2点ありまして、1点は経費削減ということです。同じ量の電力を使用しても、電力の購入先を関西電力からPPSに切りかえるだけで使用料金が下がって経費削減につながるというのですから、これを見逃さない、見逃すわけにはまいりません。今、伊丹市はさまざまな方法で財政改善に取り組んでいるわけですから、このような工夫できるポイントはぜひ前向きに取り組んでいきたいものと考えています。
導入を推進していきたい2つ目の理由はエネルギーの見直しということでありまして、東日本大震災以降、原子力発電に頼ってきた日本のエネルギー政策を見直していかないといけないというのは共通認識でありまして、そういった意味で、さまざまな方法でエネルギーを発生させているPPSに今後着目していくということは、日本のエネルギーについてさまざまなパターンを検討していくことができる布石になると考えています。自治体がPPSに着目をして導入を進めていくということは、一定意義があるのではないかと考えているところです。
こういった理由でPPSの導入を推進していきたいと考えているわけですが、当市において一層進めていくに当たっては3つのポイントがあるのではないかと考えています。
1つ目のポイントは、担当部署を決めるということです。各課、各施設がそれぞれ検討してそれぞれ対応しているというのでは、いかにも効率が悪いところです。どこかの部署が基本的なPPS事業の担当となりまして、まとめや調整、また研究等々を担うのが望ましいのではないかと考えています。
御答弁では、現状、ぴたりと当てはまる部署がというのはなかなか難しいということもありまして、あえて言うなら総合政策ということになってくるのかなとも考えるのですが、御答弁では関係部局の連絡会議などを設けていくともありましたので、そこからでもよいので進めていきたいと考えているところです。
当市においてPPSを進めていく2つ目のポイントは、全庁的に電力調査を実施するということです。これも先ほどと同様なんですが、各課、各施設がそれぞれに検討して対応していたのでは非常に非効率です。一度全庁的に電力調査を実施する、これは非常に有意義だと考えます。先ほど申し上げました先進市である大和郡山市でもこれがお勧めだということでした。もちろんPPS導入の検討にも役立ちますし、そうでなくてもさまざまな点で見直しをかけることができます。御答弁では、実施は可能だということでしたので、ぜひ実施を要望いたします。
当市においてPPSを進めていく3つ目のポイントは、グループ化による導入ということです。先進市でも学校グループ、公民館グループ、幼稚園グループなど、ある程度まとまってPPSを導入しているようです。その意味で、今回の質問でも学校園、共同利用施設、文化施設などのカテゴライズで実際の導入の可能性はどうかと伺った次第です。今後、実際に導入を検討していく、進めていくという際は、グループでの導入をと考えますので、視野に入れていただきますようにお願いします。
なお、PPSの導入につきましては、東日本大震災以降、非常に人気が高まっておりまして、関西でも経済産業省近畿経済産業局の調査では、関西でPPSシェアが前年度比12%増とも聞いております。ゆえにPPSのエネルギーが不足ぎみであるとも聞くところです。そのような現状もございますが、今後、エネルギーのあり方というのは大きく変換していくものと予想されますし、現状はPPSのエネルギーが不足しているんだということも、どう変化していくかわからない状況です。状況を随時判断しながら、提案させていただいた3つのポイントを視野にPPS導入の素地を固めていくということだけでも進めていくのが有意義かと考えます。
このPPSは特に震災以降注目されていまして、テレビ番組などでもよく取り上げられておりますし、各議会でも議員が多く質問をしているようです。自治体のPPS導入というのは今後ますます注目され、恐らくふえていくと予想されるところです。今後とも伊丹市でのPPSからの電力購入ということについて、一層前向きに取り組んでいきますよう要望をいたします。
そしてもう1点、税滞納の対策についてでありますが、私の要望といたしましては、まずプラン、計画をまとめてはどうか。そして、今回ピックアップして伺った方法について特に検討を進めていっていただきたいと。そして、公平性の担保、歳入の確実な確保という意味で徴収対策により力を入れて取り組んでいただきたいということであります。
今回は悪質な滞納者の対策ということを視野に質問をいたしましたが、本来は気持ちよく納税していただくための環境づくり、そういったことが一番大切であるのかということも実感しているところです。
なお、今回質問をいたしました趣旨といたしましては、対策が不十分だと非難するものではございませんで、逆に力を入れて重点的に取り組まれていることは承知をしているところです。
聞くところによりますと、例えば本年度からの電話による休日や夜間の催告に関しては、経験豊かな職員による適切な案内により納税率のアップが見込めそうなよい雰囲気であると聞くところです。また、本年度実施しました行動捜索やタイヤロック、これは非常に衝撃的ではありましたが、思い切った対策ということで評価をいたしているところです。また、こういったさまざまな対策によりまして、1000万以上の非常に高額な滞納者の全額納付という例も数件あったと伺っているところです。
今年度の税の徴収率というのは、こういったことも踏まえて大いに期待をできるものと思い、非常に楽しみにしているところであります。税の徴収は負担の多い業務でありますが、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
以上、要望といたしまして、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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